色んなキミを見て
みたされていく一方で、

物足りなさを感じる自分がいる。




もっと、もっと






13.みたされたいのに 前






いつものお見送りを済ませて、夏の暑さに若干だれるムサシを横目に見つつも。
早速その日も家事に勤しもうとしたの目に飛び込んだものが1つ。



「あぁ!!!」



「なんだ?」

思わず出てしまった大きな声に、ムサシくんが反応してそばに寄ってきた。


「あ、カカシのやつ。」

「もう行っちゃったよね?」

「だろうな。」

「どこで任務してるかなんて聞いたことないからなぁ〜。どうしよう。」

を見上げると、明らかに困ったと書いてある顔。



と見つめる先にあるのは、カカシたちのためにがつくった弁当。


「受付で聞いてみればいいんじゃないか?」

「受付?」
あぁ、そっか。こいつは知らないんだった。

「それぞれの任務は受付で割り当てられるんだよ。」

「へぇー。じゃあその受付に行けばカカシさんたちがどこで任務をしてるかわかるんだ?」

「そうだ。」




「あ、でもさ。」




「忍者じゃないのに教えてくれるかな?」


まぁ、守秘義務ってのがあるからなぁ。
「もし仮にダメだとしたら変わりのヤツに届けてもらえばいいんじゃないか?この時間なら暇してるヤツもいるだろうし。それにホラ、」

チラ、とムサシが向ける先をも見ると、そこには昨日もて余した時間を埋めるために作られたほのかに甘い匂いを放つものたちが。


「そっか!賄賂ねv」

「コラ、こういう時はお裾分けと言うんだ。」


クスクスと2人で笑い合って、早速受付の場所に向かった。






「おはようございますー。」


可愛らしい、男だらけのむさ苦しい受付にかけられた控えめな声。



あ、この声は。



ひょこ、と顔を覗かせているのは愛しい想い人。
と、どこであっても鉄壁の護りを崩さない恋敵の忍犬。



さん!」


初めて訪れる場所に見知った顔があって安心したのか、はホッとした表情を浮かべながらこちらにやってきた。


「お久しぶりです、イルカさん。あ!火影様も。先日はありがとうございました。」

「おぉ、どうしたんじゃ?こんなところに。」

「それが、あのー・・・」




「「ん?」」




がなんとなくそわそわしているのでイルカと三代目火影が周りを見渡すと、
丁度朝のラッシュを終え一段落している他の受付連中たちの興味の眼差しがこちらに向いていた。



「コラ、お前たちは自分の仕事をせい。」

火影のその言葉で、ささっと興味の視線たちは各々散っていった。



まぁ、見るからに一般人のが忍犬を連れてワシと親しげにしていれば自ずと興味引かれるじゃろうがな。



「で、どうしたんですか?」

「あ、はい。カカシさんが忘れ物をしていったので届けに来たんですが・・。」

そう言ってひょい、とムサシが受付の机に置いた。


「弁当・・・ですか?」

イルカは目をパチパチさせて、可愛らしい包みに似合わずかなりの大きさをしめるそれを見た。

「はい、気づいた時にはもう遅くて。どこにいるかわからないものですから、ムサシくんか受付に聞けばわかるだろうって。」

「そういうことでしたら・・・。」
いいな、まるでさんカカシさんの奥さんみたいじゃないか。


そう思ったイルカは、カカシら第七班の任務場所を調べる手を止めた。



「あー俺、」
変わりに届けましょうか?という言葉は火影様の言葉でしっかり打ち消されてしまった。

「それなら丁度よいではないか。今日のカカシ班の任務にぴったりじゃ。」

「あの、火影様?」


まさか、の考えがイルカを焦らせる。




、そなた特別にカカシ班に加わって任務をこなしてくれんかのォ?」




イルカの嫌な予感は的中した。

「しかし、火影様!さんは一般人の方なんですよ?それに、・・・」

「イルカ、少し落ち着け。」

「あ、あの。私に任務だなんて。」

も弁当を届けに来ただけの筈が、妙な展開になっている事に戸惑っている。

「なに、報酬はちゃんと出す。仕事をしたいと言っておったであろう?」

「えぇ、まぁ・・・そうですが。」
言った事は言ったが、なにも忍者の仕事がしたいとは一言も言っていない。


「なーに簡単なことじゃ。今日からしばらくの間カカシ班がついている任務はの、子守りじゃ。」

「子守り?」

「嫌か?まぁ無理強いはせぬが。」



次第に使命感と持ち前の好奇心がの脳内を満たしていく。



「私、やります。やらせてください!」



のやる気に満ちた表情と、それを微笑ましく見る火影をよそに、がっくりと項垂れるイルカ。

あぁ、カカシさんとさんで子守りなんて。




そんなの、・・・そんなことしてのさんの母性本能がくすぐられたらどうするんだ!





ナルトたちのことはすっかり頭から抜けているイルカであった。
それから火影様には、「これをカカシに渡せばよい、詳しいことはあやつに聞けばわかる。」
となにやら素早く書き付けたものと、カカシさんたちがいる場所だけ告げられた。




「病院?」

「たな、こっちだ。」
てくてくと先を歩くムサシ。

「でも子守りなのになんで病院なんだろう?」
遅れないように着いていく



「さぁな。にしても、まさか弁当届けるつもりがが任務だなんてな。」

「えへへv私もこっちでついに初仕事ですよ。」



あのなぁ。浮かれてる場合かよ・・・カカシがなんて言うか。



「カカシになに言われても俺は知らんぞ。」

「なんで?大丈夫だよ、火影様のお墨付きだし。ちゃんと賄賂も渡してきたしねv」



賄賂って、お前なぁ。



受付を去る前に、は準備してきた物を火影とイルカに渡した。
「これ、お口に合うかわかりませんがよかったらどうぞ。」

そう言って差し出したのは、こんがりと焼けた美味しそうなクッキー。


「ほォ、前に言っていたお茶菓子か?」

「アハハ、それは今度伺う時にまたきちんと作りますから。昨日暇だったんで作ってみたんです。いっぱい作りすぎたので、・・・イルカさん?」


イルカは手に持ったまま、それをじっと見つめて動かない。


「え?あ、あああありがとうございます!いや、あの俺手作りクッキーなんて頂いたことなくて///」

その顔は心なしかほんのり赤い。


「あら、じゃあ私なんかがイルカさんにあげないほうがよかったですかね。」


「え?」

「だって、初めてなんでしょう?そういうのって好きな方にもらったほうがいいじゃないですか。」



あのー。


それ、さんなんですけど(汗)

なんてこんな場所では口が割けても言えないイルカは、こうなりゃ意地でも返すものかと手の中にある袋を死守した。


「ダメです、一度頂いた物は返しませんよ。」

「???はぁ、じゃあもらってください。」

「今度は皆さんにも差し入れ持ってきますね!」と他の受付連中に優しさを見せつつ、ぺこりとお辞儀をして去って行く



この後1人ゆっくり味わうためにさっさと退出した火影に対し、イルカには飢えた受付連中が待っていた。

口々に「今の可愛い子は誰だ?」やら「次はいつ来る?俺たちに差し入れなんてあの子は天使なのか?」やら
「手作りクッキーなんて輝いた物をお前だけに味わわせるわけにはいかん!同僚として。」など、
散々冷やかされた上にクッキーも必死に口に入れた数枚以外は、訳のわからない理由で全てとられてしまった。





「ここにいるみたいだ。」



クンクン、と鼻をひくつかせカカシさんたちの匂いをかぎとったムサシくんは一枚の扉をさした。
そこは病室とは少し離れた場所で、白を基調としている病院には多少似つかわしくないような柔らかな色合いをしていた。


小児病棟とかかな?子守りって、怪我した子の看病・・・とか。

とにかくカカシから話を聞かねば始まらないと思ったはノックをし、どうぞとややくぐもった声が聞こえてきたのを確認し中に入った。



「失礼しまーす。」

ドアを開けた途端に聞こえてきたのは子ども特有のかん高い声と、それを諌めるナルトくんの声。
外はあんなに静かだったのに、防音設備ばっちりね。などとどうでもいい事をが思っているとは、目の前で驚く人は思いもしない。


?」

「あ、カカシさん。任務お疲れさまです。」

「どうしたのよ、こんなとこに・・・って、それね。」

ムサシが弁当箱を携えているのを見て、瞬時に状況を悟ったカカシ。


「受付に聞いたらここだって。」

「ありがと、悪かったね。」

「あとあのー火影様からこれをカカシさんにって。」

「ん?」

スッ、と差し出された巻物を紐解き、目を通したカカシはみるみるうちに顔色が険しくなっていった。





『これより任務完了までの間、を特別にカカシ班に組み込み任務にあたらせる事とする。三代目火影』



「どーいうこと?」

カカシはではなく足元のムサシを見た。


その瞳にはなぜオマエがついていながらが任務に、とか三代目はどういうつもりなのか、
とかまぁ主に非難の意味合いがこめられていたと思う。



そんな事言われても、俺のせいじゃない。


ムサシはフイ、と横を向いた。


「あの、私が以前からなにか出来ることはありませんかって火影様にお願いしてたんです。
 まさか、ナルトくんたちと一緒に任務としてだとは思いませんでしたけど・・・・あのカカシさんがダメとおっしゃるなら私、」


「あーねーちゃん!!」

騒いでいたナルトたちが子どもを引き連れて、話半ばにこちらにやって来た。
それにつられて一緒に遊んでいたサクラや、うるさそうにして端に避難していたサスケもやってきた。


「どーしたんだってばよ?」

「カカシさんがお弁当忘れていったから、ムサシくんと届けに来たの。でももう用が済んだから今から帰るとこ。」

はカカシが子守りとはいえ、任務に加わる事をよく思っていないのを表情から感じていた。



残念だけど、遊びじゃないものね。
少しは忍の事がわかるかなって思ったけど。


表情が暗いをナルトは不思議そうに見た。

ねーちゃん?」

「みんな任務頑張ってね、じゃあ私はこれで、」



「おねーちゃんも、いっしょにあそぼ!」

声の方を見ると、ぐいぐいと手を引っ張る小さな子。

「え?あの、」

「ユウマくん?さんはもう帰っちゃうんだって、だから私たちと遊ぼう?ね、」

サクラがユウマという子の手をから離そうとするが、頑なに離さないばかりか更に腕にしがみつく。

「いーやー!!あそぶのー」

「コラ、ユウマ。離せってばよ!」



その後ろからいつの間に近くにいたのか、子どもにしてはやや落ち着きすぎた男の子が見かねて声をかけた。
「無駄だよ、ユウマ頑固だから。」

「ソウマ、お前いつの間に・・・?」


驚くナルトをチラリと見て、
「ナルトは鈍感だね、気づかないなんて・・・よく忍者やってられるよね。」

「なっ!お前ェー!!」

ソウマ、という男の子に掴みかかろうとするナルト。


「止めとけ、ナルト。」
その首根っこをサスケが素早くつかんでとめる。

「サスケ、とめるな!」
まだジタバタとしているナルトを涼しい顔で見ているソウマ。


「ガキ相手にムキなるなよ、ウスラトンカチ。しょうがないだろ、本当の事なんだから。」

「くぉらぁああ!なにさりげなくケンカ売ってんだってばよ!!!」
ナルトの怒りの矛先は最早ソウマからサスケに向いている。

「サスケくん、かっこいい〜〜vv」
そんなサスケしか見ていないサクラ。


そんな3人を馬鹿馬鹿しいと見つめるソウマ。
相変わらずの腕を掴んで離さないユウマ。



あのー私この状況でどうすればよいのでしょうか(汗)?

はおずおずとカカシを見る。


カカシはハァ、とため息をつく。



あーもう、三代目ったらまさかこうなる事をはじめっから読んでたんじゃないでしょうねぇ?




「ハーイ、ちょっといいかな?」

久々に発言したカカシに、3人はそれまでの騒ぎをピタリと止める。


「ソウマくん、ちょっと難しい話をしたいからユウマくん連れて少しだけあっちで遊んでてくれないかな?」

「わかった。」

カカシに言われて、ソウマはそっとユウマに話しかける。
「行くよ、ユウマ。」


真剣な空気を感じ取ったのか、ユウマはそれまで頑なに離さなかった腕を素直に離してソウマについていった。



「ナルト、サクラ、サスケ。今から任務の変更点を言うからよく聞け」



指導者として任務についての指示が出るためか、自然と3人の顔つきが真剣なものに変わった。
カカシはそっと、一度を見てからはっきりとした声色で述べる。



「今回の任務に限り、がオレたち第七班に加わる。」


「え?」「マジで?!」「ホントですか?」「・・・・なんでだ。」

それぞれに驚きのリアクションを見せる。
中でも諦めて帰るつもりだったはことさらびっくりとした表情だ。



まぁ、こうなったらしょうがないでしょーよ。



「ま、小さな子をしばらく預かるわけだからやっぱ大人の女性がいたほーが心強いでしょ?って火影様がね。」

ぴら、とが持たされた火影の書き付けを3人に見せる。


本来ならば子守りの類いは優先的にくの一たち女性に回されることになっているが、
今回は運がいいのか悪いのか、誰も手が空いてないためカカシたち第七班にこの任務が回ってきた。



「ってことでよろしく。」

「「「はい。」」」


わー私が初任務だなんて。


「じゃあ、3人は引き続き2人の相手してて。はちょっと色々説明するから。」


3人は再び2人の相手をしに向かった。
それからのカカシさんの話はこうだ。


2人の両親は互いに忍で、母親は現在妊娠中。
臨月をむかえており、もうまもなく産まれるということで入院している。

父親は現在任務で里外におり、間もなく戻ってくるはずだが予定より少し遅れているとのこと。
母親には母方の祖母がついており、2人の世話をする者がいないため父親が戻って来るまでカカシ率いる第七班が任務として引き受ける事となった。


2人は兄弟でソウマくんがお兄ちゃんで5歳。
現在アカデミーに通っており、弟がいるためかしっかりしているが何事にも少し冷めている。

弟がユウマくん、3歳。
活発で甘えん坊な子どもらしい子ども。



「ってとこかな。だいじょぶそう?」

カカシは一通り話終え、任務が初めてであるを心配そうに見つめる。

「はい、私に出来る範囲で頑張ります。」
初任務とあってやる気を見せ、笑顔で意気込む

「任務っていってもただの子守りだからねー。ま、頑張り過ぎない程度にやってちょーだい。」



そう言っていつものようにぽん、との頭に手を乗せようとしたカカシ。



「あ、」

急にはキョロキョロと落ち着きが無くなる。



ん?


「いえ、あのーじゃあ私さっそくユウマくんと遊んできます!」

くるっと向きを変え子どもたちの方へと去って行った。



不自然な事はなにもなかったように思った。
ただ、宙に浮いたままの己の手のひら以外は。



あー・・・



行き場を無くした右手で頭を掻いてカカシは思った。


やっぱこないだのあれがマズかったか。


いきなりで自分が悪かったにしても、やはりこうあからさまに意識されると多少傷ついてしまう。
ふぅ、と一息つきカカシは遠くでなにもなかったかのように子どもたちと遊ぶを見る。



「やれやれ。」

「・・・お前。」
いつの間にか窓際でのんびりと落ち着いているムサシ。

「ま、今回ばかりはどうしよーかねぇ。」

「自分でなんとかしろよ。」



なんとかって言ってもねーどうしたもんか。


その後はカカシはさすがに小さな子どもの前で堂々とイチャパラを読むのは躊躇われたので、
ムサシを撫でつつぼんやりと子どもたちとを観察していた。


「じゃあ次はナルトがおにねー!!」

「よーし、捕まえてやる〜〜。」

「キャーユウマくん、逃げろー!!」
みんなで鬼ごっこをして楽しんでいるらしく、ナルトもサクラもいつもの任務より断然表情が柔らかい。


も楽しそうだ。


自然とマスクの下でカカシは微笑む。


サスケは輪から離れているソウマに何やら話しかけている。
お互い口数は少ないようだが技の話でもしているのだろうか、歳の近い下忍のサスケにソウマは徐々に気を許しているようだった。



そう思っていると、やや気合いが入り過ぎたナルトがユウマを追いかけ回しているとユウマは躓いてその場に転んでしまった。
「わ、ユウマってば大丈夫か!?」


慌てユウマに駆け寄るナルトたち。



「う、うわぁ〜ん!!」

痛かったのと驚いたせいでユウマは泣き出してしまった。
ナルトはあわあわとどう対処してよいか分からないようだ。



「ユウマくん。」



1番最後に駆けつけたが優しくユウマを抱き起こし、膝をついて目線を合わせるようにした。

「ケガはないかな?どこかいたい?」


泣きながらも「あし。」と小さく呟くユウマ。


「あしいたかったかー。じゃあちょっと見てみようね。」
ズボンを捲り、ユウマが痛いと言った場所を見てみるが幸い血も出ておらず少し赤くなっている程度にすんでいる。

「うん、ちょーっと赤くなってるけど。これぐらいならだいじょうぶ!あし、まげられる?」

「うん。」
よたよたとしながらもユウマはに足を曲げて見せる。

「よし、だいじょぶね。」

笑いながらはユウマの頭を撫でてやると、すっかり泣き止んだようだ。



「ごめんってばよ、ユウマ。つい夢中になりすぎたな。」

「そうよーナルトったら小さい子相手にムキになりすぎ!」
サクラは隣にいるナルトを小突く。

「ユウマくん、ちょっとびっくりしちゃっただけだよね?鬼ごっこ、どうする?違うことして遊ぶ?」

「する!おにごっこ、ナルトがおにー!!」

ついさっきまで泣いていたのがうそのように、ユウマはだーっと走り去ってしまった。
そんなユウマと、ね?と笑って見せてからユウマの後を追いかけるを見て、ナルトはほっとして。



「タッチ!次はサクラちゃんが鬼だってばよ〜〜。」

ボーッとそばで様子を見ていたサクラにすかさずタッチをした。


「え?」

瞬間は何が起こったのか分からなかったサクラであったが、走り去るナルトを見て意味を把握した。




「なっ!!ちょっとナルトー!!!」




こうしてわいわいと午前は過ぎていき、お昼にはが届けたお弁当をみんなで食べた。


「あ、コラ!ユウマってば野菜もちゃんと食べなきゃダメだってばよ。」

「にがいもん、やー。」
ユウマは野菜をきれいに避けながら食べている。


「・・・お前が言うなよ。」

「そうよ、ユウマくん?ちゃーんと野菜食べなきゃナルトみたいに馬鹿になるわよ〜〜。」

「ナルト野菜食えねぇーんだ。忍者のくせに、ダサ。」



サスケ、サクラ、ソウマの順にナルトを責めた。



「み、みんなして!!」

「そーだぞ、ナルト。小さい子は何でも真似したがるんだからちゃーんと食えv」
と言うカカシに、最後の砦であるをナルトはすがるような目で見る。



ねーちゃん〜〜〜。」



「野菜が食べられるナルトくんって、かっこいいと思うな?」
見事ににっこりと笑ってそう言った、の一言でナルトにとどめの一発が入る。


「くそーユウマ、見てろよ!俺が食ったらお前も食べるんだからな!!」

ぱくっ、と次々に野菜を食べるナルト。
それを見てユウマも頑張って野菜を食べた。


「ナルトくんもユウマくんも頑張ったねぇ。」

はお茶を渡しながら、2人を撫でてやる。
褒められてユウマはとても嬉しそうだ。


ねーちゃんってば俺のことガキ扱いしすぎ。」

「あはは、ごめんごめん。」

「野菜が苦手とか言ってる時点で立派な子どもよ、ナルト。サスケくんとソウマくんをちょっとは見習いなさーい。」

「本当だ、偉いねー。ソウマくんは嫌いなものとかはないの?」


急に話を振られてソウマは戸惑った。



「・・・チーズ。」



「え?」

「だから、チーズ。嫌いなもんがチーズなの。」

「ソウマってばチーズが嫌いなのかぁ?変わってんな〜!!」

「うるせー。別にチーズなんて食わなくても生きていけんだよ。」

「はっはっは、お前もやっぱまだまだガキだってばよ。」


「・・・ソウマもナルトには言われたくないだろ。」

「サスケ!!お前ってばなんでイチイチつっかかってくんだよ!」



「まーまー。落ち着いて、2人とも。」

慌て止めるカカシに、構わず参戦するサスケとすかさずそれに反応するナルト。
サクラはそんなサスケに夢中で止める気配もない。


「なんだか、ソウマくんとサスケくんって似てません?」

はユウマの食事の面倒を見ながら、カカシにそっと話しかけた。

「ねーオレも思った。ナルトにつっかかってくとこなんて特に。」

そっと2人で笑いあったが、それもつかの間
ユウマがお茶をこぼしては再び子どもにかかりっきりとなった。


お決まりと言えばそうだが、甲斐甲斐しく子どもの世話をするを見て
いい母親になるんだろーなァとか思ってみたり。


まぁ、三代目がを寄越してくれたのは正解だったけどさー。
でもやっぱをとられたみたいで、




「それはそれで複雑だよねぇ?」



少し離れたところにいるムサシを見る。

「だから俺は知らん。」


・・・ムサシ冷たい。
の様子がいつもと少し違うの怒ってる?



午後からは今度はサスケとソウマも巻き込んでわいわいと遊び回っていた。
初めはあまり乗り気ではないサスケとソウマも、徐々に楽しくなっていたようだ。


一通り騒ぎ終えた後はが部屋にあった本を、ユウマを膝にのせて読んで聞かせていた。
そばにはナルトもサクラもいる。






本を読み終えた頃にはすっかりユウマは寝てしまったらしく、に身体を預けて寝ていた。

「ユウマ寝ちゃったってばよ。」
そっとナルトはユウマをのぞきこむ。


「起きてるときは小さな怪獣みたいなのに。」
サクラは目を細めて見ている。


「かわいいね〜。」




「こっちもだ。」



「え?わーそうしてるとソウマくん、サスケくんの弟みたいね?」



同じくしてソウマも本を片手にサスケの肩に寄りかかったまま寝てしまったようだ。
弟みたいだと言ったにサスケは顔をわずかに染めて、横を向いた。


「・・・別に。」


「わぁ〜〜。」
照れてるサスケくんなんて初めて見たかも。




任務として仲間になれて、

こんなにも
色んな一面を知った。


それがわずかなひと時でも、

はそれがすごく嬉しかった。













オリキャラ嫌いな方すみません(汗
前回に引き続き、オリキャラ登場・・・。

さんが第七班と初任務ですよーvv

後半へつづく